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「ふるさとからの一歩~成功への軌跡~」トークショー

「ふるさとからの一歩~成功への軌跡~」トークショー
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ちばてつや
1936年、東京都築地生まれ。1950年、友人の作るマンガ同人誌、漫画クラブに参加した後、1956年、単行本作品でプロデビュー。1958年『ママのバイオリン』で雑誌連載をスタート。1961年『ちかいの魔球』で週刊少年誌デビュー。主な作品に『紫電改のタカ』 『ハリスの旋風』 『あしたのジョー』 『おれは鉄兵』 『あした天気になあれ』 『のたり松太郎』など。
社団法人 日本漫画家協会常務理事。

永井豪
1945年、石川県輪島市生まれ。1967年『目明しポリ吉』でデビュー。それ以来、『ハレンチ学園』 『デビルマン』 『キューティーハニー』など数々のヒット作を発表。海外でも高く評価され世界的な人気を博す。近年では漫画作品が実写映画化されるなど、国や世代を超えた幅広い読者層に支持され続けている。永井豪記念館名誉館長。

さいとう・たかを
1936年、大阪府生まれ。1955年デビュー。第50回小学館審査員特別賞を受賞した『ゴルゴ13』は現在でも連載が続く、記録的な長期連載作品。また『鬼平犯科帳』 『仕掛け人藤枝梅安』 『影狩り』 『無用ノ介』 『サバイバル』などで劇画をジャンルとして定着させる。
2003年紫綬褒章を受賞。社団法人 日本漫画家協会常務理事。

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コラム 2010/06/11
第3回 これから漫画家を目指す若い世代へ



トークショーの終盤には、特別に会場からの質問を受け付ける一幕も。
「女性で漫画家になりたいときはどうすればいいの?」
という質問に、3人の巨匠たちは笑顔で答えてくれました。



――ちば先生は文星芸術大学で教鞭を振るわれ、永井先生も大阪芸術大学で教えていらっしゃいます。大学ではどんな風に授業をされていらっしゃるのでしょうか?

ちばてつや(以下、ちば) 自分が(原稿に向かって)当たり前にやっていることを伝えている感じでしょうか。我々が漫画家になった頃は、漫画家の入門書そのものがなかった。人の作品を見て影響されたり、マネしながら覚えていったんです。

さいとう・たかを(以下、さいとう) でもちばさんに教えられる人も迷惑だと思う(笑)。彼の世界は彼だけのものだから。名人芸に近くて、彼にしか描けないものだと思うんです。私なんかはわりと計算づくで描いているところがあるけど。だから、彼が最近新作を発表しないのが本当に悔しい(笑)。


ちば さいとうさんのように何万枚とは描けませんが、ときどき読み切りを描いてますよ(笑)。永井さんも漫画を教えてるよね?

永井豪(以下、永井) 僕なんかは技術的なことはちょっとうまく伝えられないから、その時の心理状態や、どうやってその状況を作っていくのか、ということを教えてますね。

さいとう  豪ちゃんなんかは好きでこの世界に入ってるわけだから、そういうことを教えることができるよね。でもちばさんは自分の感性だから。だから、たぶん愚痴ってばっかりで、逆にその愚痴を教えてるんじゃないかと(笑)。

ちば (笑)教えるときに本当に難しいな、と思うのは、間ですね。いわゆるストーリーがある場合に、このコマ関係ないだろうっていう捨てゴマです。たとえば何も言わず振り返るときに、うつむく場面を入れることで、そのときのキャラクターの心理を表現する、といったね。

さいとう  それは捨てゴマじゃないから(笑)。ちばさんにとっては呼吸みたいなものかもしれませんが、口で説明できるものじゃないと思うな。

ちば でも、私は生徒の作品を読んで、できるだけ褒めるようにしていますよ。

さいとう  やさしいからね。それは私にはできないな。
どちらかと言うと、言いたいことをバンバン言っちゃう。そういう意味では(人を)育てるのはちばさんが向いているのかもしれませんね。
私はこの世界に入るとき、すごく悩んだんです。だからみんな悩んでるだろうなと思っていたの。でも、この世界に入ってくる連中は、俺こそ天才とみんな思ってた。

ちば そうそう。私は子どもの頃、詩人や小説家、童話作家、音楽家になりたかった。結局、何にもなれなかったけど、漫画家にはなれた。漫画家になってわかったんだけど、全部の要素が必要だった。小説家の要素も必要だし、詩人の心も必要だし、時には音楽家のセンスも。

さいとう  それはみんな持ってないと確かにダメだね。映画でいえば、チャップリンみたいな人ばかりが業界に入ってくる。ところが、私は分業することを進めたんです。それぞれの世界、たとえば脚本や美術、デザインとそれぞれが分業してやっていくことを。

永井 映画を作るように、監督がいて出演者がいてといった具合に。

さいとう  そうです。みんなそれで悩んでるもんだと思ってた。でも実際は、みんな俺が天才だと思ってるんですよ。これは早めに気づかなきゃいけなかった。
とてもじゃないけど話にならない、君が今デビューしたって仕事にならないよって言った子もいたんです。そしたら、「先生も人間で僕も人間。先生にできて、僕にできないことはないと思います」って。すごいこと言うな、と思ったんだけど、みんなそうだった。それを全く分かっていなかった。さいとう・プロという組織を作って一番失敗したなと思ったのは、それでした(笑)。

永井 基本的にそうですよ。こちらの言うことは聞かない(笑)。

さいとう  ちょっと考えればわかるんですけど、ドラマを書く才能と絵を描く才能は全く別だと思うんですよ。昔はそういうのを全部ひっくるめて、ちばさんが言ってたように、いろんな才能を持ち合わせていないとダメだった。
でも、この仕事はそうじゃない。この仕事は分業できると思うんです。絵の好きな人、ドラマの好きな人といった具合に。だから分業していけば、それぞれはもっと伸びると思うんです。むしろその方が業界のためにもいいと思うんだけど。

永井 でも、さいとう先生の方法論は、さいとう先生でないとできないと思いますね(笑)。

さいとう  これは私が雑誌の編集者にずっと言ってることなんですけど、編集者がサラリーマンであるうちはこの仕事は伸びないと。みんながプロデューサーとしての意思をもって、作品が売れていくらの世界だから、給料制ではなくそこからお金をもらえとね。
そういう体制が完成されてきたら、この業界も面白くなると思う。それにはまず、いろいろなことをやらないといけない。例えば、漫画賞のあり方。キャラクター賞や脚本賞など、もっと細かく分ければいいと思うな。

永井 少女漫画や少年漫画、青年漫画といったかたちじゃなくて、アカデミー賞みたいにね。

ちば 漫画家に限らずですけど、みなさん自分がこうなりたいというのがあると思うんです。小説家でも音楽家でも……それが目標で、いわば頂点ですよね。でも、山と一緒で登り道はいっぱいある。
自分が本当にやりたいことから始めていってどんどん伸びて、最終的に頂上に近づいてもらう。そうしていけば、コンテンツを制作する業界そのものが発展していくんじゃないかなと思いますね。

終わり


トークショーの後、永井豪記念館では「超合金魂 GX-45C マジンガーZコミックカラーバージョン」の先行販売と永井豪先生との握手会が行われました。手にするのは当日限定で販売された自身がサインを入れたもの。



マジンガーZ
『マジンガーZ』
永井豪 420円(税込)

兜甲児は、祖父が遺した驚異のスーパーロボット「マジンガーZ」に乗り込んだ。神にも悪魔にもなれるという「マジンガーZ」でドクターヘルの魔の手から地球を守れ!
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