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まんがのしくみ

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プロフィール:中野晴行(なかの・はるゆき)
1954年生まれ。和歌山大学経済学部卒業。 7年間の銀行員生活の後、大阪で個人事務所を設立、フリーの編集者・ライターとなる。 1997年より仕事場を東京に移す。
著書に『手塚治虫と路地裏のマンガたち』『球団消滅』『謎のマンガ家・酒井七馬伝』、編著に『ブラックジャック語録』など。『マンガ産業論』で日本出版学会賞奨励賞、日本児童文学学会奨励賞を、2008年には『謎のマンガ家・酒井七馬伝』で第37回日本漫画家協会賞特別賞を受賞。2009年、「まんがのしくみ」連載を電子書籍化した『まんが王国の興亡 ―なぜ大手まんが誌は休刊し続けるのか―』をリリースしたのちに、『マンガ進化論』と改題して書籍出版。

まんが王国の興亡

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コラム 2010/01/21
第44回 アニメビジネスの世界で影響力を増す中国


 今回はアニメの話をしよう。「まんがのシクミ」なのになんでアニメ? という声もあろうが、まんがとアニメは陸続きなのである。少なくとも日本のテレビアニメの原作は8割以上がまんがなのだ。まんがというマルチユース型コンテンツのひとつの形態がアニメなのである。

 そんなテレビアニメに大きな変化が起きていることにお気づきだろうか? 今年になってからさらに、深夜枠のテレビアニメが大幅に少なくなっているのだ。とくに、U局(関東広域圏・中京広域圏・近畿広域圏(3大都市圏)などの独立UHF放送局)の深夜アニメが激減した。アニメ激戦区だった午後11時半以降の時間帯では、お笑い系の低予算バラエティや通販番組に衣替えしたところがほとんどなのだ。

 この傾向に関しては、「まんが最前線」の連載の中で、アニメ情報サイト「アニメ! アニメ!」の数土(すど)社長のコメントとして紹介したことがある。つまり、深夜枠でアニメシリーズを放映して、DVDパッケージで稼ぐというビジネスモデルが機能しなくなった結果なのである。数土社長は、アニメ会社は劇場用アニメにシフトしている、と説明しているが確かに2009年からこちら、国産劇場用アニメが何本もつくられている。老舗の東映アニメが2009年秋に久々の劇場用オリジナル長編『きかんしゃやえもん』を3DCGアニメとして制作したほかにも、『劇場版 天元突破グレンラガン 螺厳編』『交響詩編エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい』など、『ドラえもん』『ポケモン』といった定番モノ以外の劇場公開作品は増えている。

 テレビアニメを中心に市場を伸ばし、版権ビジネスなどを拡大してきた日本アニメも大きな転換期に入った、と言えるのだろう。


 一方、海外では中国のアニメ産業が次第に存在感を見せ始めている。

 昨年の中国アニメ産業の市場規模は2300億円。日本はほぼ2500億円なので、ふり返るといつの間にかすぐ後ろまで来ていた、といったところ。テレビアニメの制作分数は日本が2006年の13万5529分をピークに減少しているのに対して、中国は2002年に1万2000分にすぎなかったものが、2007年には13万1042分を記録し、その後も増え続けている。計算方法などに違いがあるために、単純に比較するわけにはいかないが、テレビアニメだけをみても、「アニメは日本のお家芸」と安穏としていられる状態ではないのだ。

 2004年に「知材立国宣言」をした中国では、まんがやアニメなどをエンタテインメント産業の重要なコンテンツと位置づけて、国を挙げた推進政策をとっている。大連や北京、西安などに大規模な動漫基地(動漫とは中国語でアニメーションの意。政府支援のもと、アニメーションスタジオを誘致している地区。アニメとゲームの工業団地)をつくって制作を支援するほか、2006年9月からは午後5時から8時までは外国製のアニメを放送禁止にするなどの措置を行って、国産アニメの保護を打ち出している。2008年には禁止時間が午後9時まで延長された。

 その一方で、外国のアニメ制作会社との技術提携や合作によって最新技術の導入も進めており、こうした政策が中国アニメ産業の追い風になっているのだ。

 中国のアニメ制作会社の特徴は、1社がさまざまなタイプのアニメーションを手がけていることだ。2Dのフラット・アニメで日本の『機動戦士ガンダム』風のものや、タツノコ・アニメ風、日本アニメーション風のものをつくるかと思えば、アメリカ風の3DCGアニメもつくる。中国の伝統的なアニメを思わせる墨絵風のものもつくる。実に多様な作品を1社で制作しているのだ。あるプロダクションが海外向けにつくったプロモーション用のDVDを見たが、レベルは思いの外高い。3DCGなどは日本よりも一日の長があるかもしれない。

 海外のアニメ会社から背景や着色といった下請的な仕事を受注することにも熱心で、最近の3DCGアニメのエンドロールで、中国系の名前をよく見かけるのは、アメリカや日本で活躍する中国系アニメーターはもちろん、中国の動漫基地に拠点を置く制作会社のスタッフが多数参加しているのである。ある意味で、中国は世界のアニメ工場になっているわけだ。

 しかも、日本のアニメ制作があくまでも国内向けを意識しながら、それを世界展開しているのに対して、中国のアニメ界ははじめから世界市場を目標としている。2300億という数字について、中国のアニメ関係者に聞くと「まだまだ小さい」という答えが返ってくる。彼らのライバルは日本のアニメ会社ではなく、ディズニーやドリームワークスなのである。


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