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まんがのしくみ

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プロフィール:中野晴行(なかの・はるゆき)
1954年生まれ。和歌山大学経済学部卒業。 7年間の銀行員生活の後、大阪で個人事務所を設立、フリーの編集者・ライターとなる。 1997年より仕事場を東京に移す。
著書に『手塚治虫と路地裏のマンガたち』『球団消滅』『謎のマンガ家・酒井七馬伝』、編著に『ブラックジャック語録』など。『マンガ産業論』で日本出版学会賞奨励賞、日本児童文学学会奨励賞を、2008年には『謎のマンガ家・酒井七馬伝』で第37回日本漫画家協会賞特別賞を受賞。2009年、「まんがのしくみ」連載を電子書籍化した『まんが王国の興亡 ―なぜ大手まんが誌は休刊し続けるのか―』をリリースしたのちに、『マンガ進化論』と改題して書籍出版。

まんが王国の興亡

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コラム 2009/03/12
第31回 講談社大赤字のニュースからまんがのこれからを考えてみる


 2月24日の朝刊各紙は「講談社76億円赤字」というニュースを報じた。ことし創業100周年を迎える出版大手の講談社の2008年11月期の決算が76億8600万円の赤字になったというものだ。売上高も1350億5800万円で前年比6・4%のマイナス。雑誌、書籍、広告の3部門で前年を下回り、9月のリーマン・ショック以降の広告不況に加えて、コミックの販売不振が大きく影響したようだ。

 講談社は02年の11月期決算で戦後初の赤字に転落。04年にも7300万円の赤字を計上しているが、今回の赤字はそれを大きく上回っている。

 70年代のオイルショックによる広告不振のときも、同社は赤字になっていない。かつて出版業界は不況に強い業種の代表格だったのだ。景気が悪くなると「手軽で安い娯楽」として本が売れる、とまで言われたものだ。70年代の広告不況では、出版各社がまんが単行本の発行を増やして、これが売り上げ減の救世主になった。「単行本で稼ぐ」今のまんが出版のビジネスモデルがそこから生まれたことは、この連載でもすでに書いたとおりだ。


 ここ最近、雑誌が売れず、広告がネットに移行する中で講談社を支えてきたのもまんが単行本だった。二ノ宮知子の『のだめカンタービレ』の大ヒットなどが、黒字を支えてきたのだ。今回の大幅赤字転落はその法則が機能しなくなっているということの現れなのだろうか?

 私はまんがが、力を失っているとは考えていない。

 ベストセラー、ということでは、昨年「このまんががすごい!」男編1位に選ばれてブレイクした中村光の『聖☆おにいさん』の売り上げなどが今年の決算に寄与してくるはずだ。新聞には「映像化されたコミックが減ったこと」が原因とあるが、春には「週刊少年マガジン」連載の山本航暉の医療まんが『ゴッドハンド輝』がテレビドラマ化されるなど、今年は映像化作品も増える予定だ。現在単行本が44巻まで出ている『ゴッドハンド輝』(eBook版は38・39巻が3/27にリリース)がドラマ化効果で売れ行きを伸ばすようだと、全体での売り上げは大きい。

 また、講談社は創業100周年企画の一環として、「週刊現代」誌上で高森朝雄、ちばてつやの名作『あしたのジョー』をかつての「週刊少年マガジン」の連載時そのままで連載する「復刻連載」に踏み切った。団塊の世代を中心に根強いファンが多いこの作品の再登場で、売り上げ減の伝えられる週刊誌に新たな読者を呼び込むきっかけになるかもしれない。

 そういう意味では、まだまだまんが頼みは続くだろうし、まんが単行本が出版社を支えているという状態は当分続くのではないか、と思われる。

 ただし、映像化作品に左右されたり、過去のヒット作にいつまでもすがらなくても、確実に収益が上がる体質作りには早いところ取り組んでほしい。単年度の赤字ですむくらいの段階でないと、それなりに体力が必要な「体質改善」は難しくなる。今回の赤字に驚いて、ちょっと本気になっていろいろな手が打てるようでないと、こんどこそ本当の危機がやってくることは間違いないだろう。

 そうした事態を招かないためにも、いまのマンガ読者のニーズがどこにあるのかを、徹底的に分析する必要があるのではないだろうか。まずは、そこからだ。



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