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イズミ少年の漫画日記

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第25回 2009/10/27
ムラマサと70年代風俗
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プロフィール:泉麻人
1956年東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、週刊TVガイド編集部勤務を経て、フリーのコラムニストに。東京をテーマにした著書が多い。漫画関係の著書では赤塚不二夫作品の魅力にふれた『シェーの時代―「おそ松くん」と昭和こども社会』(文春新書)がある。2005年、気象予報士の資格を取得。

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2009/02/03
第2回 ヤマザキ君の忍者服
「伊賀の影丸」(横山光輝)(その1)


伊賀の影丸黒づくめの忍者服
同級生のヤマザキ君は忍者服をもっていた
(『伊賀の影丸』より) ©光プロダクション

 僕が小学校に上がった1963年は、俗にアニメ元年と呼ばれる。正月(1月1日)に「鉄腕アトム」のTVアニメがスタートし、秋には「鉄人28号」「狼少年ケン」…といったところが加わって、番組スポンサーの菓子の景品をきっかけにシールやワッペンのブームが吹き荒れる。この辺の詳しい状況については、また後日ふれる機会があるだろう。シールやワッペン集めがインドアなアソビとすると、僕らのこの当時のアウトドア系のアソビといえば、定番の草野球(手打ち野球)と“忍者ごっこ”であった。

 忍者ブームの発端は山田風太郎(甲賀忍法帖)や五味康祐(柳生武芸帳)の娯楽小説ということになるのだろうが、僕ら子どもにとっての導火線はなんといってもTVドラマ「隠密剣士」の登場だろう。62年10月、TBS系日曜夜7時の黄金の時間枠(「月光仮面」~「ウルトラマン」のシリーズ)でスタートした番組は、主役の秋草新太郎(大瀬康一)よりも、脇役の忍者・霧の遁兵衛(牧冬吉)が活躍する第3部の頃から、僕らの必見番組となっていった。TV番組では、「少年忍者風のフジ丸」「忍者部隊月光」、少年誌の漫画では「サスケ」「伊賀の影丸」といったところが、忍者モノの代表的な作品だった。

 「伊賀の影丸」の本論に入る前に、今回は忍者ブームの個人的なエピソードについてふれておこう。僕が通っていた東京新宿区立の小学校は低学年の3年間と高学年の3年間とが同じクラス――という編成だったが、低学年のクラスで一緒だったヤマザキ君という友人がひどく忍者にハマッていた…印象が残っている。

 手元にその時代の作文帳が保存されているので、忍者絡みのネタが書かれていないか?探してみたところ、僕の帳面にはなかったけれど、小一時代の文集にヤマザキ君のこんな作文が記録されていた。
 
 「ぼくは にんじゃの ふくを きました。
 つくえに のって おかあさんを
 おどろかそうと したけど
 おかあさんが きが つきました。
 それで おかあさんが ぼくのおしりを
 たたかれました。」

 ま、小一児童の作文ゆえ、ちょっと文法はおかしい(ヤマザキ君、勝手に引用してゴメン!)けれど、ユーモラスな光景が浮かびあがるいい話である。そう彼は伊賀の影丸調の黒づくめの忍者服をもっていて、遊びに行くと自慢気に着換えていたのを思い出す。とはいえテレがあったのだろう、みんなで外で忍者ごっこをするときに、こういった恰好をすることはなかった。

 ヤマザキ君の家のすぐ近くにあった<ねーちゃんばーちゃん>と呼ばれていた駄菓子屋(正式な屋号はあったのだろうが、若い婦人と老婆がやっていたのでそう呼んでいた)には、プラスチック製の十字手裏剣や八方手裏剣が売られていたが、僕らはカンヅメのフタなどでよく手製の手裏剣をこさえたものだった。しかし、金属製のこれらは投げ合って遊ぶには危なっかしい。せいぜい雑木林の木の幹に投げ刺してハクをつける程度で、実際の忍者ごっこで活躍したのは“折り紙製”のやつだった。

 2枚の折り紙を使用する。各々を細長く4つ折くらいに折り込んで、十字に重ねて、お互いの隙間に紙辺をこじ入れるようにしていくと、菱型がクロスしたような恰好の手裏剣ができあがる。と、言葉で説明するのはちょっとムリがあるのだが、掌におさまるなかなかいい塩梅の手裏剣だった。アレはいったい誰が考案したものなのだろう…久しぶりに折り紙を買ってトライしてみたのだが、もはや段取りを忘れてうまく仕上げられなかった。

 そんな忍者ブームを牽引した「伊賀の影丸」と少年サンデー誌上で出会うわけだが、当時はあまり熱心な読者ではなかった。その辺の話は次回――。


伊賀の影丸
『伊賀の影丸』
横山光輝 各315円(税込)

闇一族の目的を探るため、山城の国に派遣された影丸と村雨五兄弟。しかし、すでに待ち伏せていた闇一族のために味方の数馬が倒れ、あやしい武士を追った源太郎は捕われてしまった。闇一族の狙いは何か? そして影丸たちに勝利はあるのか? 忍者大長編コミックス、完結!
コラム関連目録 鉄人28号 原作完全版

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