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まんが最前線 インタビュー

まんが最前線 インタビュー
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プロフィール:中野晴行(なかの・はるゆき)
1954年生まれ。和歌山大学経済学部卒業。 7年間の銀行員生活の後、大阪で個人事務所を設立、フリーの編集者・ライターとなる。 1997年より仕事場を東京に移す。
著書に『手塚治虫と路地裏のマンガたち』『球団消滅』『謎のマンガ家・酒井七馬伝』、編著に『ブラックジャック語録』など。『マンガ産業論』で日本出版学会賞奨励賞、日本児童文学学会奨励賞を、2008年には『謎のマンガ家・酒井七馬伝』で第37回日本漫画家協会賞特別賞を受賞。2009年、「まんがのしくみ」連載を電子書籍化した『まんが王国の興亡 ―なぜ大手まんが誌は休刊し続けるのか―』をリリースしたのちに、『マンガ進化論』と改題して書籍出版。
中野晴行執筆の連載コラム
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インタビュー 2009/06/18
2009年ケータイコミック最前線のトレンドは「脱エロマガジン」で「アジア進出」
株式会社ビービーエムエフCEO 谷口裕之氏


今回お届けするのは「まんがのしくみ」から派生したインタビューシリーズ・「まんが最前線」。その名の通り、まんが産業の最前線でご活躍のみなさんに取材して、今どんな動きが起ころうとしているのかを探っていくものである。第1回は『ケータイ★まんが王国』を運営するビービーエムエフのCEO・谷口裕之氏。商社マンを経てケータイコミックの世界に身を投じた谷口氏に、急成長を続けるケータイコミック市場のこれからの展望をうかがった。


谷口裕之 プロフィール
 谷口裕之

株式会社ビービーエムエフ 代表取締役。
1965年生まれ。宮崎県出身。日商岩井(現・双日)に入社、情報産業本部にて携帯電話会社各社への投資や端末の全国販売網構築に従事。シンガポール支店勤務を経て、2001年に独立しソフトウェア開発のベンチャー企業を立ち上げる。2005年、Bbmfとの資本提携に伴い、同社のグループ経営に参画。


――昨年度あたりから、雑誌・単行本と言った紙のまんがの売上減少分とケータイコミックの売上増加分が拮抗するようになってきました。今年度もその傾向は続いていますか?

谷口 今年度のケータイコミックの市場規模は、我々の試算で400億円くらい。去年がおよそ230億ですから170億円増になります。ただ、紙のまんがのお客さんがケータイに移行したと考えるのは間違いだと思います。むしろ、これまでまんがを読まなかった人たちが、ケータイコミックの登場でまんがを読み始めて、新しいマーケットができたと考えています。

――では、この先も紙とデジタルは独自の市場を形成していくと……。

谷口 もちろん、紙でまんがを読んでいる人たちをケータイに取り込みたいのですけど、そのためにはあと2段階くらい必要でしょう。まずひとつは、今連載中のまんがをケータイで読めるようにしないといけない。そうなれば、週刊誌を買っている読者を取り込めるようになるでしょう。その上で、ケータイならではの新しいコンテンツを発掘しないといけない。これはケータイコミックそのものの死活問題にもなると思います。

――ケータイコミックが本格的にまんがの主流になるにはまだまだ時間がかかりますか?

谷口 ケータイコミックが本当の意味で花開くのは、紙になじんでない読者がケータイでまんがを読むようになったときだと思うんです。描き手の方も編集者も紙へのこだわりがあります。読者の中でも35歳から上くらいの方たちは紙に愛着があります。ところが、若い世代の読者にはそういうこだわりがない。むしろ、PCやケータイのほうに親和性がある。紙でまんがを読まなくなっている小学生、中学生がPCなりケータイで読むようにならないと、メディアの宝の持ち腐れですよね。

――子どもが読むためには、現状でケータイコミックの主流になっている「BL(ボーイズラブ)」「TL(ティーンズラブ)」はどうなんでしょう。

谷口 これまでは確かにエロまんがで伸びてきましたが、それだけではもはや市場は伸びないと考えています。社内でも議論をしつくしたんですけど、400億円の市場を拡大していこうとすると、「脱エロ」でないとだめですね。

――具体的になにが必要ですか?

谷口 ひとつは、現在連載中の単行本をケータイで読むことができるようにすること。その次は、雑誌です。さらにケータイならではの作品を描く才能が出てくること。これが可能なら1000億、2000億の市場も夢ではないと思います。そこに行き着くまでは、編集者も頭を切り換えないといけません。弊社の編集者はもちろんですが、各出版社さんでもケータイを意識した作品を生み出せるような編集者さんに出てきてほしいのです。

――雑誌をおやりになる、ということですが。

谷口 まんがの前に、まず情報系の雑誌をやろうとしています。各出版社さんと提携して、さまざまな雑誌の発売日と同時にケータイ雑誌にも情報を配信していくわけです。複数の雑誌と提携するのは、単品では人が来ないからです。我々は電子書店という位置づけですから、専門店的に品揃えをしないと人が来ないんですね。そしてそういった品揃えをし、「何でも揃う」ということこそが、我々の強みでもあります。

――人をサイトに集めるノウハウはありますか?

谷口 弊社の場合、1ヶ月に1000万人のお客さまがあるわけですが、その1000万人を呼び込むために一番たくさんのお金を使っています。その上で、お客さまがいくら使ってくれたのかを計算しているのです。うちの会社のノウハウで大きいのは、ライツを取ってくる営業力と、広告費を使ってお客さまを集めて、そこからいくらお金にするのかというアナログな部分なのです。

――今後の展開で何かほかに。

谷口 ひとつ期待しているのが海外市場なんです。海外の人たちには、そもそも紙でまんがを読むという習慣がなかったわけです。海外では、まんがはケータイやPCで読むものだ、というところから始まる人たちのほうが多いわけです。まず目指しているのは中国です。これが成功すれば、弊社も大きく成長できるはずです。


倍々ゲームで拡大してきたデジタルコミック、ケータイコミック市場がひとつの過度期にさしかかっているのは間違いない。大手出版社の中には早々とデジタルコミック部門の縮小を決めたところまである。しかし、紙の出版社の古い経営体質とは違う、新しい経営者による新しいビジネスモデルが、未来のまんが産業を構築してくれる。そんな期待が大いに持てるインタビューであった。


 

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