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インタビュー 2009/07/03
古典文学の漫画化に世界が注目! 
『まんがで読破』 編集者 圓尾公佑さん


2007年に発売を開始し、現在までシリーズ39冊、累計約190万部と大ヒットシリーズとなった『まんがで読破』。普段なかなか手が伸びない夏目漱石や太宰治などの名作文学が漫画で読めることや、「格差社会」「ワーキングプア」などのキーワードから火がついた『蟹工船』『資本論』などの漫画化でも注目されている大人気シリーズです。今回は大ヒットの裏側をイースト・プレス担当編集者の圓尾公佑さんにお聞きしました。

圓尾公佑さん プロフィール
 『まんがで読破』シリーズ編集者 
 圓尾公佑さん

1977年、1月13日生まれ、2005年イースト・プレス入社。『まんがで読破』シリーズ担当のほか、HIP HOP漫画のパイオニアUJTのコミックス『ブレイクタイム manga meets music』、故・見沢知廉氏をモデルにしたエンターテインメント小説『かれ、ときどき、テロリスト』(佐伯紅緒・著7月5日発売)などを現在担当。

まんがで読破公式ホームページ http://www.eastpress.co.jp/manga/


―――どういったきっかけでこの本の企画が始まったのですか?

沖縄の「バラエティ・アートワークス」という漫画制作会社からの持ち込みの企画でスタートしました。「ありそうでなかった」とても面白い企画でしたので、すぐに弊社と一緒にやりましょう、ということになりました。

―――プロモーションはどのように工夫されましたか?

販売にあたっては、はじめ読者層を30代男性に想定して、コンビニでの販売に力を入れました。現在では、タレントの劇団ひとりさんや、優木まおみさんを起用してのフェア展開などの効果もあり、書店での認知も高まりましたし、文庫棚に常備してくださる書店も増えたため、書店での販売に力を入れています。

―――マンガ化にあたって気をつけたポイントや苦労はありましたか?

やはり、原作の内容をうまく決められたページ数で表現することです。このシリーズは1冊で「読破」することがポイントですので、漫画的な見せ場をしっかりと作りながらも、話の大筋はおさえる。マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』や、ジェイムス・ジョイスの『ユリシーズ』などの長編の作品では特に気をつけながら制作しました。また、漫画家の名前を出していない理由も、漫画家の色や個性をあまり出さずに、内容をより楽しんでいただきたいからです。

―――原作の選定はどのように行われているのですか?

編集部内でタイトルを出し合い決定しているのですが、私の年齢(32歳)が想定読者と合致することもあり、ほとんど自分が読みたいと思ったものを選んでいます(笑)「古典」は膨大なタイトルが刊行されているので、すべての作品が候補作でもあります。「どの作品<を>漫画化するか」ではなく、「どの作品<から>漫画化するか」ということを考えています。当然、原作の書店での売行きを調べたり、ブームになりそうなもののリサーチをしたりもしますが。

種の起源
最新作『種の起源』(ダーウィン)

優木まおみ
イメージキャラクター 優木まおみさん


―――「格差社会」「ワーキングプア」などのキーワードや映画化なども相まって『蟹工船』に注目が集まっていますが、『蟹工船』は意図的に販売されたのですか?

『蟹工船』がブームになる前に刊行したので、特に意図的というわけではないのですが(笑)やはり、もともと魅力的な小説なので、漫画化はすぐに決まりました。当初は売れ行きもそこそこでしたが、後からブームがやってきて、爆発的に売れました。

―――マルクスの『資本論』は、アメリカのCNN放送や、イギリスの『タイムズ』紙、BBC放送でも紹介されたそうですが

昨年の中頃から、ドイツをはじめ欧米では世界的不況の影響から、『資本論』が多くの人に読まれているようです。それがマンガで読みやすくなり日本で出版された、ということで話題になりました。翻訳出版も、中国、韓国、台湾、デンマーク、インドネシア、トルコ、ブラジルなどの国で決定しています。

―――雑誌や新聞などでも「古典文学」に注目が集まっていますが、なぜ今、脚光を浴びていると思われますか?

「古典」として読み継がれている文学は、「面白い」という評判も各所で耳にしますし、「いつかは読んでみたい」という潜在的な意識が読者のなかにあるのだと思います。ただ「難しい」「時間がかかる」という思いもある。そこに「新訳」や「漫画版」があることで、手にとってみようか、という気持ちになるのだと思います。元々、内容は素晴らしいものばかりですので、このマンガをきっかけに原作にふれて頂ければと思っています。


資本論 -まんがで読破-
『資本論 -まんがで読破-』
原作:マルクス 企画・漫画:バラエティ・アートワークス 420円(税込)

「金が何でできているか知ってるか?」――19世紀前後に起こった産業革命以後、工業化により商品の大量供給が可能になったが、貧富の差はますます広がり、人々の生活は豊かになるどころか苦しくなるばかり。労働者を酷使する生産過程のなかで新たな価値を生み出す「搾取」のシステムが明らかになる……。資本主義社会に生涯をかけて立ち向かった革命家・マルクスの代表作を漫画化!
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