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特選 漫画人インタビュー

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インタビュー 2009/04/26
漫画原作者 倉科遼さん(2)
 漫画編集者の「後出しジャンケン」をさせないために


――そういう人の方が多いのでは?

そうですね、多いと思います。つまり、作家というのは自意識がとても強い方々ですから、人の意見を入れるのがいやだとかできあがったものに対してとやかく言われるのがいやだってね。それが自分にはあまりないんですよね。

「後出しじゃんけん」は嫌ですよ。打ち合わせもしないでおいて、後からとやかく言われるのは僕も嫌です。
なので、きちんと打ち合わせをして、そこに希望があったりリテイクがあったりしたらそれを書いておいてくださいと。

失礼を承知で言うけど編集者っていうのは後出しじゃんけんなんですよ。
自分としてはもう30年間そのやり方でやってきて、嫌で嫌でしょうがなかった。打ち合わせしても「適当にやっといてよ」っていわれて、じゃあこういう風にやらせてくださいよってできあがったものを出すと「うーん、ちょっと違うんじゃないかな」みたいにね。言われるんですよ。それは嫌なんです。結果主義なんですよね。そうじゃなくて始めから言ってくださいよと。きちっと打ち合わせをしてね。それが正しい作り方何じゃないかな。

僕の若い頃はそういうことをしない編集者にたくさん会いましたから。嫌な時期もたくさんありましたよ。とにかく後出しじゃんけんをされるのが嫌だったな。たとえば良くあるのが、打ち合わせで喫茶店とかで角突き合わせて2時間くらいしゃべるわけですよ。ああでもないこうでもないと。で、時間が来てしまって、編集者が「じゃあそんな感じで」って切り上げるわけです。そして「そんな感じで」作ったものを持って行くと「全然違うよ」っていわれるみたいな。

言葉って言うものはどんどん流れていってしまうものですからね。書き留めておかないとむなしく消えていってしまう。後、会話での打ち合わせ時にはお互いの了解のままにしゃべっているので、編集者と自分がイメージしていることが違うまま話が進んでしまうこともあるわけです。
なので、話がまとまったつもりで作って持って行ってみると全然違うということが起こるんです。それが嫌なのでとにかく一度それを文字にまとめようと。そういうことにしたんです。そうするとイメージだけだった編集者も、ぐっとストーリー作りに入ってくるんですよ。思い出したり考えたりして、メモを作るわけです。それが「書く」ということなんですね。

昔は編集者の方が年上だったわけですが、今だと自分よりかなり若い編集者が担当になることが多いわけです。まるで親子みたいにね。
そうなると、話しているだけでは意見が出てこなかったりするんですよね。意見言えよって言っても、なかなか若い子が自分に対して色々言えないわけですよ。しかし面と向かっては言えないけれど、時間を与えて手紙のように書いてもらえば出来るんじゃないかと。どういう風に書いてもいいよ、箇条書きでもいいし、シノプシスのようでもいい。それこそ原作のようにちゃんと書いてきてもいいんだぞっていうと、みんな書いてくるんですよ。原作風に。(笑)

――みんな書きたいんですね。

書きたいんですよ(笑)。表現するってのは人間の本能的な部分のひとつでしょ? その場が与えられるというのは彼らからすると自分の表現が採用されているっていう感じになるんです。やりがいを感じてもらえてるんじゃないかな。まあそれらの8割くらいは使えないんですけどね(笑)。

――そうですか(笑)。若い編集者とのつきあいというのはどうしているんですか、と聞こうと思っていたんですが、そういう風にされてるんですね。倉科先生はベテランの編集者と若い編集者と両方お付き合いされていると思うんですが…

若い人の方がいいですね。

ベテランの人とももちろんつきあっていますけれどね。長いつきあいになればなるほどツーカーで話が出来るようにはなりますけども。今は若い人を担当につけられることが多くなりましたよね。新入社員をつけられることもありますよ。

――編集者を育ててくださいと?

そうです。若い子はよく勉強しますよ。ヤングジャンプの「夜王」の編集者は担当になってから随分成長したって社内で評価されたようですよ。本人にも倉科番になったからだって言ってもらえましたけどね。今は二人目の入社一年目の子がついてますけどね、彼ももの凄く勉強してきますよね。もちろんプレッシャーも凄く受けているとは思いますけど(笑)。

――そうでしょうね。

打ち合わせしてメモを出してきたときに、足らないところとかおかしいところとかを僕が指摘すると「すみません! すぐ直します!」なんてやりとりがあったり。まるで僕が編集者で彼が作家みたいですよ(笑)。
だけどそれが楽しくてしょうがない。他の作家さんはわかりませんけどね、そういう若い子に意見されたりリテイクを受けたりすることが嫌だって言う方が多いって聞きますよね。自分にはそれはないんです。作品が全てだから。
その作品を作るために、みんなで知恵を出し合ってクオリティを上げると言うことであれば、年の差なんて関係ないじゃないですか。とはいえゼロからラインを引くのは自分が責任持ってやりますけどね。その時にメモが出てるというのは楽なんですよ。



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