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特選 漫画人インタビュー

特選 漫画人インタビュー
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インタビュー 2009/04/25
漫画原作者 倉科遼さん (1) 倉科流 原作量産術


漫画に携わる職業は「漫画家」だけではない。
漫画の「熱」を次世代に継承する伝承者たちの手でバトンは次世代へ――

「特選 漫画人インタビュー -漫画伝承者列伝- 」は、創作・編集・研究など、様々な角度から漫画文化を国内外と次世代に伝えていくお仕事に携わる漫画界関係者の方へのインタビュー集の中から、特に好評だったものをお届けするセレクション企画です。

第1回はマンガ原作者編として、テレビドラマ化されて大人気となった「女帝」をはじめ、莫大な作品量を誇る倉科遼先生にご登場いただきました。
連載中の作品も数多く、今最も注目されているクリエーターといっても過言ではない倉科先生の過密なお時間をぬって、ロングインタビューを敢行!
司敬名義時代の苦労や、倉科流作劇術について、「女帝」がうまれるまで、と貴重なお話をたっぷり伺ってきました。
<2007年春取材分>

倉科遼 プロフィール
 倉科遼

1971年、マンガ家としてデビュー。バンカラ物を中心としたヒット作品を数多く輩出し、「野望の群れ」「会津おとこ賦」「昭和バンカラ派」等、ロングセラーを多数生み出す。特に「野望の群れ」は全28巻続いた超ロングヒット作品として有名。単行本化された作品は40点以上。倉科遼名義となってからは原作者として現在青年誌を中心に数多くの劇画原作を執筆している。 代表作の「女帝」をはじめ「ネオン蝶」など数多くの作品を執筆している。特に、「女帝」により劇画界に"ネオン街モノ" という新ジャンルを開拓した先駆者と言われている。



●5時間で2本! 脅威の生産スピードのわけ

――以前何かの記事で拝見したのですが、倉科先生は規則正しく昼のうちにお仕事をされているというのは本当ですか?

倉科先生:そのとおりですよ。きょうも(仕事場に)8時くらいに入ったのかな。それで13時までに2本原稿を書きましたから。13時からこのインタビューがあるでしょ。その後出版社が原稿を取りに来て、その後にも予定があります。だいたいいつもこのようなスケジュールですね。

――すごいですね。それはつまり、5時間で2本という事ですよね。

シナリオはだいたい先に作っておきましたから、それを書き始めてしまえばだいたい1本描き終わるのに1時間半くらいですよ。あとはまあ、だいたいひな形を作ってますんでね。ストーリーをゼロから作るともうちょっとかかりますけれど、ほぼ一日2本のペースは守ってますね。

―― 一本で分量はいくらぐらいなんですか。

原稿用紙20枚くらいです。世間でね、倉科はこれだけ量産してるので、所詮何人もアシスタントを使って書かせてるんじゃないかなんて言われてますけれども、実際は一人で手書きで書いてます。ただ、担当編集者がブレーンとしての仕事をしてくれてはいます。

――なるほど。その点を詳しくお聞かせ願えますか?

資料を探してきてくれたり、それを読んでまとめるとかは、全部編集者がやってくれています。また、打ち合わせた内容を全部メモに起こして出してもらっています。何を話したか忘れちゃう恐れがありますんでね。
で、そこに担当編集として(ストーリーを)こうして欲しいとかの希望があったら書き加えておいてくださいと言っています。一週間くらいの間に、もしあるならアイデアを出してもらって、その打ち合わせメモに書き込んでくれていいよと。
編集者にも色々いて、箇条書きにしてくる人もいれば、まるでほとんど原作そのもののようにみっちり書いてくる人もいるんですよ。

――先生のように書きましたと(笑)?

そう。もしゼロから話が作れるなら、もうその編集者が倉科の代わりに原作を書ける(笑)。それくらいの奴もいますよ、本当に。みんな楽しんでいるんです。
マンガを作るっていうのは原作つきの場合、原作者・漫画家・編集者の三位一体でひとつの作品が出来るわけです。マンガ作りの独特な世界ですね。
編集者、編集部サイドの、つまり雑誌側からの作品への希望がわりと入ってくるのもマンガです。編集者とも合同作業をしているんです。
しかし、編集者は絵は描けません。編集者が作品作りの上でどこに関与するかと言えば、話作りなんですよね。
なので、僕は原作者として、編集者に出来る限り話作りをする上で、発言の場を与えましょうと考えています。そうすることによって編集者のアイデアがちゃんと活きるし、場合によっては自分が考えつかなかったアイデアを編集者が出してくれる場合もあるわけです。取材した内容とか情報とかをどう入れるかとかね。
そういう作業を毎週毎週やっています。
それが多分、倉科が作品を量産できる原因のひとつであって、まあ大きい力にはなってくれてますよね、このシステムは。編集者達は倉科が考え出したやり方と言ってくれてますけれども、それが大きい理由だと思います。


●レールを敷けば、誰でも走れるが… 倉科流作劇術の秘密がここに。

ストーリーをゼロから作るっていうのがもちろん一番大変なんですよ。ですからゼロの段階から作り出すのは自分の役目です。
ただ、だいたいレールを敷けば誰でも走れるんですよね、ちょっと失礼な言い方ですけども。ゼロから作るのが原作者の一番大変な部分なんです。
編集の方もみんなある程度物書きを目指していたり、もちろん漫画を好きだからこの仕事をやってきてる訳だから、まあ自分なりにストーリーを作りますよね。ストーリーを作る能力はあるんですよ、みんな。

でも、発想の部分とかゼロから何かを生み出すということ、そこは難しいんです。そこはやはり作家の持っている視点だったり感性だったりが必要になってくるわけで。僕はよく編集者の書いてきてくれたアイデアを褒めるんですけどね、「おっ、今週はよくできてるね!」とかね。だけど彼らはみんな言いますね、何もないところからこれを書けって言われたらできないって。
そういうものなんですよ。もちろん、逆に僕が困っているとき、つまり上手く書けなくて50%位のものしかできなかったときとかに、編集者に見せると、それが70、80%のものになったりすることもあります。話を作る作業ってどうしても狭まった視点になりやすいんですけども、それを俯瞰で見る視点、客観的に見る視点をちゃんと作っていかないといいものは出来ないんです。
でもそれに迷ってしまうときとか客観的に見れなくなってしまうときとかって必ずあるんです。その時に編集者が必要なんです。そういう意味で彼らはアドバイザーであり良いブレーンなんですよ。で、じゃあそれを始めから一緒にやっちゃいましょうと。そういうやり方をしているんですよね。

――ははあ、なるほど。

ところがですね、原作者も漫画家さんもそうなんですけれども、そういうのをいやがる人がいるんですよ。



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